ゲームを遊ぶのも買うのも同じこと

最終防衛ライン2 : 「最近のゲームがつまらない」? 自分にあったゲームを探せていないだけじゃない?
 まー、なんとも当たり前のことなのだけど、それを当たり前と思ってない人も世の中にはいるのだよね。
 趣味ってのは楽しむためにやってるんだから、最大限楽しむために自分に合ったのを選ぶってのは当然のことで。それは面倒な労力でも何でもなくて、自分が楽しむという目的を達成するための過程。うっかり自分に合わないものを引いてしまったら、楽しくないだけでなく、金も時間も無駄にする。損をするのは自分で、だから自分でやる。それだけのことだ。


 これが分からない人ってのは、多分、今までは周りの流行を追いかけるだけだったんだろう。人気のある作品、話題になってる作品、売れている作品、有名な作品。そういうのしかやってこなかったんだろう。わざわざ選ばなくても、目立つところにある。何も考えなくても、自然と目が向く。と言うととってもバカにしてるように聞こえるけど(わざとそう言ってるんだけど)、でも、流行と自分の嗜好があっている限りにおいてはその行動は何も間違ってない。それで楽しめていたのなら、それでいい。本人が楽しいことが一番重要なのだから。
 ただ、世間の流行にしても個人の嗜好にしても、不変てわけじゃない。変わっていってしまう。そうして流行と嗜好の乖離が起きると、いままで流行追いかけていればよかった人は、それが楽しむためにやる普通のことだと思っていた人は、どうしていいか分からなくなるのだろう。単に流行と嗜好が合っていただけなのだけど、そのふたつを分けて認識できない。もしくは、流行に乗れないことが悪いことのように感じられてしまって、それが認められない。だから「流行を追いかける」ことしかできず、それが嗜好と合わないと、「最近はさぁ」と言い出す。おかしいのは周りであって自分ではない、下らないものが流行ってる、と強弁しだす。「自分で探す」という発想自体が浮かばない。
 流行を自在にコントロールできるなら話は別だが、そんなのはできやしないので、なら矯正しなければならないものがあるとすれば、それはもう自分しかないのだ。自分の嗜好に合ったものを、探して来なければいけない。それしか手段がないのであって、文句を言っても始まらない。誰が悪いわけでも、何が間違っているわけでもない。「腐ったものは食べない。健康を害するから」。それと同じレベルのこと。食いたきゃ食ってもいいけど、それで痛い目に遭うのは自分だ。自分で判断するしかない。それが一番確実な道だからだ。


 もし「そんなの面倒で嫌だ」と思うなら、もう一つ選択肢がある。とっととゲームを止めることだ。ゲーム以外にも、世の中には面白いことがたくさんある。誰も「お前はゲームだけやってろ」とは強制しない。楽しいと思うことを他に探せばいい。「自分はゲームが好きだ」と思い込んで、ゲームにばかり執着する必要などない。好きではないから「面倒だ」と思うのだ。好きならば、他の事をやる時間も惜しんでゲームの情報を探しネットをさまよい、そして「これ俺に合ってそうだけど、どんな内容だろう」「こういうのやったことないけど、ちょっと面白そうだな」という感情が自然に湧いてくるだろう。それ自体が楽しく思えるはずだ。行き過ぎると「あれもこれも面白そうで、でも全部買う金はないし、どうすればいいんだ!」という苦悩が待っているが、まぁそれは幸せ太りみたいなものだ。
 最初は、自分の嗜好すらよく分からないかもしれない。ハズレを引いてしまうかもしれない。ただ口をあけて待っていれば美味しいものが食べられた人には、何が美味しくて何が美味しくないか、それどころか、それが果たして腐っているかどうかも判別できないかもしれない。でも、愚痴っているだけでは何も変わらない。面白いことが起きもしない。いつまた嗜好と流行が一致する日が来るか、誰にも分からない。自分でやらなければ、誰もやってはくれない。経験でしか伸びないものは、経験するしかない。


 貴方の好きなゲームがどんなものか知らないが、ボタンを押さなければテキストは進まないだろう。キャラクタは動かないだろう。ビームは出ないだろう。何もせずとも勝手に進むムービーシーンは、ゲームのごく一部にしかない。それと同じだ。貴方がそれをやらなきゃゲームは進まない。クリアにならない。そしてもう一つ重要なのは、ゲームはゲームオーバーになっても何度でもやり直せるということ。ゲーム中のキャラクタが死んでもプレイヤーは死にはしない。前回の失敗を元に、より成功の確率を高めて再プレイに臨むことが出来る。ゲームを買うのも同じだ。何をやるにもまったく同じだ。「CLANNADは人生」どころか、全てのゲームが人生なのだ。



 で、なんかいいこと言ったような気(往々にしてこういうのは勘違い)になったわけだけど、ダメ押しでもうひとつ。
 アニメオタクを見るといい。毎年、春と秋の番組改変期になると、ものすごい数の新番組が始まる。レコーダーを使っても、全てのテレビアニメをチェックし続けることは出来ない。放送時間が重なっているものもあるし、何より数が多すぎる。だから彼らは、選ぶ。面白そうなものを。自分が見られる分だけ。その選択の上に、彼らのオタクライフがある。ウェブ上に数多あるアニメオタクのウェブサイトでは毎日のように「昨日放送したあれ、面白かったねー」と甘受した楽しさが報告されるが、それは彼らが選んだからだ。選べなかった奴は、あとになって「あれ見ておけばよかった」「これも見逃した」と泣き言を漏らす。
 貴方はそのどちらになりたいかと問われれば、答えは分かりきってる。