『モダン・ウォーフェア 2』は日本市場におけるFPSの第一歩となりうるか

 明日はついに『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア 2』の発売と言うことで。
 前作『コール・オブ・デューティ 4』が出たのが、一昨年の12月でしたか。発売していたゲーム会社の消滅などあって一時期は入手困難にもなったそうですが、今年の9月に廉価版がスクウェア・エニックスから出直して、なんでもこれのプレイステーション3版がかなり売れたのだそうな。よく知りませんが、ニコニコ動画で見られるたくさんのプレイ動画がいい宣伝になって、今までFPSに手を出してなかった層にも人気が広がり、一昨年の時点でまだ買っていなかった人たちが買っていた、らしい。というわけで、そうなると当然ながら『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア 2』にも期待がかかるわけですね。楽しみです。
 前も言いました。私の夢は、日本でもFPSが売れるようになって、そして最終的には、日本のゲーム会社から日本人に向けたFPSが出ることだ、と。……言いましたよね。言ってなかったかな。まぁいいや。とにかく前から思ってるんですよ。


 不安もあります。『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア 2』は売れるでしょう。ゲームソフトの売り上げの相場などはよく知りませんが、どーんと初週15万本越えくらい期待してもいいんじゃないかな、とか勝手に思ったりしてます。まぁ、そこまでは無理としても、「洋ゲーにしては」「FPSにしては」という括りの中でなら、かなり売れた部類に入れるのは間違いないと思います。でも、問題は、その後なんですね。
 「FPSが売れて欲しい」と言う私の夢から言いますと、『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア 2』の1タイトルだけがたくさん売れてもしょうがないんです。それをきっかけにするなりして、他のFPSにも興味を持ってもらい、そして買って遊んでもらえないと、「FPSが売れるようになった」とは言えないわけですよ。そして「日本でFPSが売れるようになった」と言える状況にならなければ、日本のゲーム会社が日本人向けにFPSを作ってくれるようになんて、絶対なりやしない。「『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア 2』に似たような何か」は出るかもしれませんが、それじゃダメなんです。続きませんからね。
 FPSというのは海外では大人気ジャンルで、みんなずっと遊んでる。みんながずっと作っている。『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア 2』を開発したインフィニティ・ウォードは2002年に設立された、わりとまだ新しいゲーム会社ですが、働いているスタッフはそれ以前から他の会社でFPSを作っていた人たちです。また同時にFPSで遊んでいた人たちでもある。
 もう分かるでしょう。FPSを作ったことや遊んだことがほとんどない日本のゲーム会社の人たちが、ずっとFPSを遊び・作り続けてきた外国の人たちと同じくらいすごいゲームを、そう簡単に作れるわけがありませんね。蓄積された経験が、全然違いますから。1タイトルだけが売れている状況でその1タイトルに似た何かが出るだけじゃ意味がない、と言うのは、そういうことです。FPSというジャンルそのものがちゃんと広まっていかないと、継続的にそのジャンルをしっかり研究しようとしない。研究しなきゃ何も生まれません。「似たようなのを1本出してみた。売れなかった。じゃあ諦めよう」。これで終わってはダメなんです。「売れなかった。じゃあ、どこがダメだったかよく考えて、その反省を取り入れ、また新しいのを作ってみよう」となって欲しい。その分かれ道になるのが、FPSは日本人も楽しんで遊んでいる、というところ。つまり、『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア 2』が売れた後に、他のFPSがどうなるか、ということですね。


 どうなるのか、分かりません。ダメかもしれません。はっきり言えば、その可能性が一番高いですね。『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア 2』だけが売れて、そのまますぐ熱が冷めてしまう展開。
 でも、またとない好機であることには違いありません。まずFPSに興味を持ってもらい、FPSを手に取ってもらい、FPSで遊んでもらわないことには、FPSが楽しいものだとはわかってもらえませんから。今までのFPSは、もちろん面白いものはたくさんあるのだけど、なかなか興味を持ってもらえなかった。そこでもう躓いてしまっていたのです。宣伝の仕方が悪いとか、ソフトを出しているゲーム会社の知名度が低いとか、理由は色々あるでしょう。どれもうまくいかなかった。広まる人数は、うまくいってもほんの少数でしかなかった。でも今、ようやく、最初のハードルを飛び越えられそうなソフトが出ようとしている。まだ大勢の人を相手にできていると言えるほどではないですが、それでもFPSとしては、かつてないくらいの人数にはなっていると思います。
 『ファイナルファンタジー 13』をはじめ、『NEWスーパーマリオブラザース Wii』、『ゼルダの伝説 大地の汽笛』など、すごい有名なシリーズの最新作がたくさん出る12月です。ただでさえ他のゲームソフトは大変な時期に、まだまだ日本では認知度の低いFPSが発売される。並大抵のことではありません。ですが、それでも、それであっても、FPSにとってはここが勝負どころなのです。とにかく、認知度が低いなりにも、『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア 2』はどこまで頑張れるか。ここで失敗したら、「それをきっかけにして、他のFPSにも興味を持ってもらう」なんて夢のまた夢なのです。
 一人でも多くの人に買って遊んでもらえるといいな、と心から思っています。

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2 - PS3

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2 - PS3

コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア - PS3

コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア - PS3