広がってるのか、回ってるのか

 プレイステーションの『スターオーシャン』のリメイク移植がPSPで決まったようで。個人的にはそのタイトル自体はどうでもいいんですけども、リメイク移植といえば今日は同じくPSPで同じくスクウェア・エニックスから『ファイナルファンタジータクティスク』の移植タイトルが発売じゃないですか。で、PSPファイナルファンタジーというと、『ファイナルファンタジー1』と『ファイナルファンタジー2』もあって、携帯機でのファイナルファンタジー移植ていうと、DSでの『ファイナルファンタジー3』と『ファイナルファンタジー4』がある。旧作の移植リメイクに勤しむのはスクウェア・エニックスだけじゃないですけども、さすが社長が「リメイクで稼ぎます」宣言した会社だけあって、並べて書き出すとなかなか壮観ですな。

 で、思ったんだけども。こういうソフトが発表になったり発売したときに聞かれるユーザーの声って、大体がオリジナル版のファンからのなんですよね。「リメイク待ってたよ」とか「オリジナルとどれくらい変わってるのか楽しみだ」とか「こりゃ改悪じゃねぇか」とか。ま、それはネットで大きな声を上げるのはそういう人が多いってだけだったり、単に自分の覗いているウェブサイトや掲示板にはそういう人が多いってだけだったり、そんなのもあるんでしょうけど、はたして実際のところ、こういった移植・リメイクタイトルの購入者の割合としては「オリジナルが好きだから買ったよ」て言う人と「オリジナルは知らないけど面白そうだから買ったよ」て言う人と、どんなもんなんだろうな。
 別に悪いわけじゃないはずだけども、前者の割合が大きいのって、あまり良くないことのように思える。新しいファン層を開拓しないのなら新しいパッケージングをして同じソフト出す意味なくない、みたいな。いや、少なくとも気持ちの上ではメーカーは開拓したかったのかもしれないし、とりあえず利益が出せるならユーザー層が同じままだって何も問題ないだろうって理屈もあるけども、なんかな。とにかくオリジナルとの比較評価で劣化要素ばっかなのを見てなんとも言えない気持ちになってみたり、何の意味があってやったのかよく分からないオリジナルからの変更があってファンが嘆いているのを見てこっちもやる瀬なくなったり、グラフィックスを3Dにすれば「ドットのままがよかった」と文句が出、ドットにすれば「手抜き移植だ」と文句が出と、なんか、旧作の移植ってろくなことない感じがするのよな傍から見てると。不毛さばかりで。せっかくの過去の楽しい記憶をぶち壊しにする結果のほうが多いような。ま、そりゃな。オリジナルが好きだからこそのファンなんだから、そこに手が加えられていたら基本的には喜ばないには決まってるか。


 とは言え、なんだかんだ言っても移植が発表されればみんな喜んでるし、なんだかんだ言っても発売すれば買ってるし(んで失望してるし)、それはそれで、いい回転なのかなぁ。うぅむ。でもやっぱり、なんかな。何年も前からのファンたちとメーカーの狭い輪の中だけで期待と失望と金とソフトがぐるぐる回ってるような感じは、なんだかすごい不健全で、とてもアホらしく見える。「お前らもういい加減に外に出なよ……」的な? 他人のこと言えたもんでもないけどさ。
 それとも、自分が気が付かないだけで、しっかり新しいところへと広がっているものなのかな。