東京ゲームショウ2006 雑感まとめ PS3篇

 とりあえずもうこれ以上の新規発表はないと思うので、ネットで収集した今回のイベントで出た情報に対する雑感。情報はほとんどネットを介した伝聞なので(ネガティブな情報は、公式なメディアには出ませんからね)、真偽については保証できません。興味のある人は自分であちこち回ってお調べください。


出展されていたプレイアブルデモの評判を聞いていると、相当にすごいことに。なるほど、そりゃどんなに赤字の膨らみを懸念されて株価が落ちようと、一般公開日の前に値下げの発表でもしなければ、ユーザーからの評価は取り返しのつかないことになっていたに違いない。隠し玉を用意してあってあってよかったですね、と言うところなのか。PSPのときに「生産出荷」なんてデータでもなんだかんだ誤魔化せていた経験から、利益よりもとにかくまず「こんだけ出した」という数字の積み上げに重点を置こうってことになったんだろう。
 以下、もちょっと細かく書きますが、はっきり言ってほとんど誉めてないので(だってそういう情報あんま入ってこないんだもん)、「PS3の悪口言うな!」という人は見ないほうがいいです。散々ソニー嫌いだと言ってるこのサイトにわざわざそんな素っ頓狂な人は来ませんでしょうが。

  • 既にあちこちで言われているがフリーズ。そして扇風機と、冷却シート。本体が市販のと完全に同じ作りなのか、デモ用に先行生産されたものであって市販モデルとは異なる部分があるのかは知らないが、どうにしろそう大きく異なるものではないと思うので、ここまで対策をしてもなお動作が安定しないというのはかなりキツイ。発売日前後に店頭での試遊台設置を予定しているお店のスタッフは、今もう戦々恐々としているのだろうか。Xbox360でも去年のイベントで扇風機の設置が確認されていたが(それでもここまで動作がやべぇ、ってのはなかったと思う。少なくとも自分はそういう情報は見てない。見てたらXbox360買ってないし)、日本はいうに及ばず世界的にも注目度は段違いのゲーム機であるだけに、こういった報告の及ぼす影響もだいぶ違うだろう。それにしても、忘れたからなのかはじめから知らないからなのかは定かじゃないが、このPS3の扇風機の件で盛り上がっているサイトや掲示板でも、Xbox360にも扇風機が付いていたことに触れるものは少ない。Xbox360ユーザーとしては悲しいやら嬉しいやら複雑です……。
  • プレイアブルデモは、そのほとんどで酷い処理落ちやジャギが報告され、また従来公開されていた映像よりもグレードがダウンしているとのこと。ただでさえ製品版の制作が大変なところに加えてこのイベント展示用のデモを作らなければならずかなり無理もあったのだろうから、実際に発売される製品版では(どの程度までかはともかく)改善はされているだろう。しかし一般来場者に直に触ってもらうデモですらそんな程度のものを出すことしかできなかったということは、やはり深刻な事態なのだと思う。
    • しかしそもそも、発売日が近いのにろくなプレイアブルが上がってこないというのは、製品版の製作も順調に手間取っていますということなんじゃないのか。そうでない(少なくとも現時点で発売日は決まってない、もしくは、そう近くはない)タイトルにしても、「まだ完成度が低い」なんて理由でどうにかなるレベルですらないようなのが出てしまっているのはつらい。というか、高性能化に甘えてエフェクトを派手にしたら出す煙が多すぎて処理落ちとか、そんなアホみたいな調整をしてるやつらはなんなのか。せめて一度でも動作を確認すりゃいいのに、もしやソフトメーカーには展示で使うような最終バージョンに近い実機がまだ提供されてないんかね。
  • なにより、『グランツーリスモ HD』や『メタルギアソリッド4』など、これまで「これは実機動作ですよ、ここまでできますよ」と言って公開していたものまで、プレイ時の処理落ちやフレームレートの低下など明らかな劣化をしているというのは……。結果的に劣化と言う形になったのか、それとも初めから嘘をついていたのかは置いておくとしても、どうにせよつまり、最終バージョンのPS3では今まで公開されていた実機動作と称する動画のクオリティの維持は無理でしたと言うことだよね。『メタルギアソリッド』なんて特に「映像」に拘るタイトルなのに、それが今まで60fpsで公開されていた映像が30fpsになっているというのは結構な衝撃。製品版はまだ2007年発売予定ってだけなので、それまでには問題なく改善されていると思うが、それでも現時点であれをユーザーの目に触れさせてしまったってのがもう……。いくらなんでも『MGS』の開発チームに技術力がないってことはないはずだけど、その彼らをも「ここまでしかできない」と妥協させてしまうほどにPS3ソフトの開発環境は「すごい」ということなのか。なんとか客寄せをしようとソニーコナミも焦ったんだろうけど、こういう人気タイトルはもっとちゃんと開発環境が整うまで大事に取っておくべきだったんじゃないのかね。
  • その中にあって『リッジレーサー7』や『デビルメイクライ4』は、比較的安定した動作をしていたよう。だが、どちらにしても、「前作とそう変わらない」とか「PS2から絵がきれいになったってだけでそれ以上がない」という厳しめの評価。今の段階ではその程度のものでないと安定した動作が望めないということかな。
  • 華はセガ。『バーチャファイター5』。ジャギなども報告はされているし、アーケード出のコアプレーヤーが気にするような微細な差異についてはまだ不明だが、出展タイトルの中では群を抜いて見栄えはよく、ゲームプレイも60fpsでだいたい安定しているらしい(カクってるという報告もないわけじゃない)。どうしたんだセガ! なにがあったんだセガ! アーケードで培った経験のおかげでハイエンドなハードウェアでの製作には強いのか? しかしなにせ現在も稼働中のアーケード作品の移植であるために、完成度が高いほど早い時期での発売が出来なくなるという諸刃の剣。
  • まぁ、PS3はなんだかんだ言っても多くのメーカーやユーザーに支持(期待)されていることに異論はないと思うんだけど(期待が高いからこそ、それを裏切るようなことをすると叩かれる)、にもかかわらず今回のイベントでは既に映像など発表されていたタイトルの中間発表や経過報告みたいなのばかりで、それ以外の完全新作……どころか「実はこのタイトルももうここまで出来ているんですよ」という速報的な発表さえされなかったことが、PS3にとってはなによりも深刻なんじゃなかろうか。PS3についてそう先のことを考えてられる余裕が、ソフトーメーカには今もうないということで。これが続編濫発を減らす一助になっちゃったりすると面白いかも。


 んなとこかしら。こりゃPS3買うのは来年どころか再来年か、さらにもう一年先になりそう。デモ機の挙動が不安定なのやソフトが調整不足なのはこの際もういいとして、これといった新作が発表されなかったのはきつい。上でも書いたけど、なんだかんだで日本のソフトメーカーからの支持は多く集めてるので、なにか良さそうなのがサプライズで来るんじゃないかと期待してたんだけどねぇ実のところ。