読了

スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF)

スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF)

 映画化決定の帯に引かれてだいぶ前に買ったんだけど、ちょうど読み終わったタイミングで、Xbox Liveでの映画版トレイラー配信が開始されていた。これこそ神の思し召しに違いない。なんて思うわけがない。けど、面白い偶然ではあるね。
 創元文庫の『暗闇のスキャナー』は読んだことはないけどもタイトルは覚えていたので、その新訳版だなと言うのはすぐ分かった。映画化に際してハヤカワが翻訳権をぶんどったらしい。出版社はそういうところでも日々戦っているのだなと、本の内容よりも外側の出来事の方が興味深かった。つまり、中身はいまいちだった。主人公が段々と狂っていって破滅するって筋はいいんだけども、厚生施設の陰謀みたいのはいらなかったなぁ。最後にちらっと出てくるだけで大して意味もないくせに、そのオチのせいで一気にチープになってしまった。いや、そういう陰謀こそディックらしいっちゃらしいのかもしれないけど。