unplayable

 結局はたいしたセールスにはならず後に続かなかったのだけれども、ソニープレイステーション2で音声入力のゲームを何本か出した時期があった。その1本目である『オペレーターズ・サイド』が発売されるちょっと前、掲示板でこういう声を聞いた。「友達で片腕がない奴がいるんだけど、このソフト教えたら『俺でも出来るかな』って言ってたよ」。まぁ、さすがにちょっと出来すぎなような気がするし、匿名掲示板での発言なので真偽のほどは定かではないが(ついでに言えば、そのソフトは音声入力の際にボタン入力を要求されるので、結局のところ片腕ではやっぱり操作はしづらかったように思う。いや遊んだのがだいぶ前なのでちょっと記憶が曖昧だと断ってはおこう)、考えてみると、そういえばコンピュータゲームって、プレイヤーの両手が揃っていることが「当然の」前提として作られているよなー、なんてことを今日の夕方に散歩をしていてふと思った。
 コントローラのデザインはどれも明らかに両手で持つものだし、携帯機も言わずもがな。シミュレーションやRPGなどのソフトはコントローラを置いて片手で操作することもでき、実のところ片手で操作するために作られたコントローラもあったりはする(これ以外にも、プレイステーション用では特定のタイトル専用ではなく汎用として片手コントローラが作られているが、いちいちリンクするのが面倒なので興味のある方だけ各自株式会社ホリのサイトでご確認ください)。が、しかしこれは、結果として片腕の人でも遊べるソフトになっているというだけで、「片手で遊べるように」と考えてシミュレーションゲームなどのシステムを採用しているわけではないだろうし、コントローラにしても、あくまでも「そういう操作もできる」「空いた片手でほかのことが出来て便利」ということであって、片手しかない人が使うことを想定しているわけではないだろう。ましてや即時的なリアクション(入力)が要求されるアクション性の高いゲームなんかは、使用ボタンの増えた今のゲームは特に、片腕しかない人が遊ぶことはまず不可能だ。ゲームセンターでは、確か車椅子の人のために筐体を低くするサービスをしたところがあるという話を聞いたことがあるが、しかしゲームそのものはやっぱり両手が揃っていることがプレイの前提となる。
 子供向けがどうとか、大人向けがどうとかいったゲームに関する話はよく聞く(まぁだいたいは不毛なレッテル貼りと煽り合いであることが多いのがアレだが)。男向けもある。女向けもある。ポルノゲームもある。高齢者向けのゲームの話題もなかったわけではない。しかし障害者、特に腕や指のない人らが遊ぶことを意識したゲームを作ったってのは、聞いたことがない。「お前のアンテナがヘボなだけだ」と言われると恐縮するしかなく、恐らく今まで全くなかったわけでもなかろうとは思うが、ほかと比べて圧倒的に話題になっていないのも確かだろう。どうなのだ。誰か、この辺について突っ込んで言及した業界の人はいるのだろうか。また、障害を持っている人自身の思いはどうなのだろうか。特に、事故などで後天的に身体を損なった障害者で、以前はゲームを好んで遊んでいた人というがこの世に全くいないとは到底思えないのだが、その人たちが事故後ゲームに対してどう思うようになったのかは非常に興味深いところだ。ふぅむ。
 と、実際に調べてみたりすることもなく「興味がある」だけで終わってしまういつものダメなパターンなわけだが。ダラダラと書いていたら遅くなったので今日はもう寝る。