一億総侍幻想

蝉しぐれ (文春文庫)

蝉しぐれ (文春文庫)

 10月には映画が公開されるということで、買ったまま放っていた原作に手を付けてみた。まだ序盤だが、夏休み中に少しずつ読み進めればいいかな。
 映画の方は、予告編なんか見てみると、この手のものとしては相変わらずな「現代人が忘れた、日本人の……」なんて風な、何の肥やしにもならないつまらないコピーが引っ付いていて、誰がやってるんだか知らないが、そんな文言をいまだに恥ずかしげもなく付けられるセンスには脱帽するばかり。ハリウッド映画の落ち込みと純愛ブームで邦画が盛り返してるとか言う必死な喧伝を昨今よく見かけるが、まぁせいぜい頑張ってくださいよ、というところか。今までがどん底なのだから、ちょっとブームに乗るだけでもそりゃ上向くに決まっとろうに。あー、すごいすごい。

 ところで、原作の方はまだ文四郎と登世が長屋に移ったところまでしか読んでないので、その先の展開はまだ詳しくは知らないのだが、青年になった島崎与之助と小和田逸平のキャストは本当にこれでいいのか? いや、別に芸人が俳優業に手を出すことをどうこう言うのではなく、だって子供時代だと、与之助は剣が得意でない秀才タイプで、逸平は体のがっしりした大将タイプだったのに……。