風の谷のナウシカ

風の谷のナウシカ [DVD]

風の谷のナウシカ [DVD]

 また君か。@d.hatenaさんのエントリーを読んでいて見たくなったので、以前にテレビ放送したときに録画したビデオを引っ張り出してきて鑑賞。坂上みき氏が「もののけ姫公開記念」と言ってたので、97年か。カセットに貼ったシールも黄色く変色してたし、そろそろDVD買うべきかしらん。

 他の人のように内容についての考察が出来るほどの頭も目も持っちゃいないので、まぁ単に見ている分であるならば、クライマックスで言い伝えが再現されたと聞いて婆さまが泣くシーンで一緒に泣くのがいつものパターンなわけだけど(昔は別に泣きゃせんかったのに、なぜか中学生くらいから妙に涙腺がゆるくなった)、今日もやはりご多分には漏れず。


 ところで、先にリンクしたまた君か。@d.hatenaさんも別のエントリーで言っているメーヴェに乗りたかった」発言。この発言はネットで検索してみても分かるとおり結構聞く発言なのだが、そういえば自分はどうだったかと思い返すと、むしろ逆であったを思い出した。別にそれだけの話なのだが。確かにああやって空を飛ぶのは気持ちよさそうだと思うのだが、しかし自分の中で強かったのは「もし手を離しちゃったら、真っ逆さまに落ちて死んじゃうじゃん」という思いのほうで、だからエンディングのスタッフロールのバックで谷の子供たちと思しき人らが簡易版メーヴェのようなもので飛んでいるシーンなどは正直言って「よくそんな怖いことできるなぁ」と身震いしたものだった。
 記憶を探っていくと、どうやら幼い頃にみんなのうたで見た『イカロスの歌』がトラウマだったっぽい*1イカロスの話に関しては、有名であるし、英語の授業で教材として使われることも多く、なによりネットで調べればすぐ出てくるので詳細は割愛する。で、その歌の歌詞の中で「蝋で固めた鳥の羽 みるみる融けて舞い散った 翼を奪われイカロスは 落ちて命を失った」というのがある。声優の林原めぐみ氏は、小学生の頃に担任に連れられてクラスの皆と宇宙戦艦ヤマトを見に行ってとき、作中で主人公クラスの登場人物たちまでも死んでしまうことにショックを受けたとラジオで話していたように記憶しているが、自分の場合はイカロスの歌で同じショックを受けたわけだ。歌の題名にまで使われている人物が、きっと主人公だろうに、そんなあっさりと死んじゃうなんて! しかもそのあとに続く歌詞が「だけど僕らはイカロスの 鉄の勇気を受け継いで」だ。視線は物語の中から一気に歌い手側の世界へと移され、その目が見つめるのはイカロスなどいない未来の世界。自分たちが生きる世界。なんと前向き。最早そこには過去を振り返りイカロスの死を悲しむ姿などこれっぽちもない。あまりにショッキングで醒めた歌詞。子供の頃はこの歌が怖くて怖くて、もう一度見たい、また放送しないかとよくテレビの前で頑張っていたものだが、どうやら自覚していた以上に意識への侵食は大きかったようで。メーヴェに乗りたいとは思えなかったのも、多分こういうことなのだろう。うむ。書いててちょっとこじつけっぽいと思わないでもなかったのは内緒だ。


 今では、空は嫌いじゃない。はずだ。『エースコンバット3』と『エアロダンシングF 轟つばさの初飛行』は好きだし(『エアロダンシング』が本編ではなくアペンドなのは単に値段が安いのを買っていたからで、深い意味はない)、『マクロスプラス MOVIE EDITION』は最高だ。新居昭乃氏の『VOICES』を聞くと、今でもまぶたの裏には青い空が浮かぶ。もちろん実際にはそんな映像を生で目にした経験などなくて、セルアニメを妄想で補完した映像だけどもー。ま、高所恐怖症は相変わらずなのだが、これは別にイカロスは関係なさそうだし。観覧車に乗るだけでも体が硬くなるんだから、自分でも弱いなぁと思います。はい。

*1:調べたら、この歌の正確な題名は『イカロスの歌』ではなく『勇気一つをともにして』らしい