海外市場におけるフィーバータイム終了(の予感)のお報せ

 アメリカのElectronic Arts社のゲームに、『Mirror's Edge』というものがある。そのソフトは北米では確か11月に発売されたのだが(ちなみに日本版は12月11日発売)、売り上げはよくなかったと聞いた。「面白くなかったんだろ?」。まぁ、そうとも言えるかもしれない。でも、個人的にはそれは中々驚きの報だったのだ。距離を測りにくく激しいアクションに向いていないとされる一人称視点で、敢えて激しいアクションに挑戦したゲーム。それもElectronic Arts社の、DICEスタジオ開発タイトルである。話題性も注目度も、並みのものではない。そんじょそこらのイロモノでは、決してないのだ。任天堂がやっているほど既存のゲームから大きく逸れるものではないが、しかし、何か新しいものを見つけよう、掴もうという気概がそこには確かにあふれていた。
 去年。同じくElectronic Arts社が出したゲームに『Army of Two』というゲームがあった。もう1本。Ubisoftから発売されたゲームに『Assassin's Creed』というものがあった。どちらも日本版が既に発売されているので、聞いたことがある、遊んだことがあるという人もいるだろう。どちらも既存のシリーズには含まれない、オリジナルタイトルである。俺はどちらも買って遊んだ。出来としてはかなり甘い。海外での評価も決して上々と言うわけではなかった。が、それでも売れたのである。どちらも続編の開発が既に決まっているし、『Army of Two』は映画化の企画もあるという。


 面倒なので、去年書いた記事の引用にしておこう。

アサシンクリード』もそうだけど、一機種とべったりする日本と違って、海外はXbox360出たらもう次世代機にさっさと飛び込んで、去年までの時点でもう『レインボーシックス ベガス』やら『バイオショック』やら『Halo3』やら『コールオブデューティー4』やら『マスエフェクト』やら出てどれもが高評価っつーか、ゲームサイトのレビューの点数がどこもインフレ起こしかけてたりするくらいだけど、その一方で、そういうすごいタイトルを出してるのと同じメーカーが、まだあまり練りきれてないようなタイトルを「今になって」ぽつぽつ出すようになって、なんかそういうの結構面白いなぁと思うのだよな。これまでのやり方をハードのパワーアップに合わせて順当に進化させたスタイルとともに、今まで作ってこなかったようなのものも試してみようというか、優等生的なものばかり作るんじゃなくてちょこちょこ角の尖ったようなものも忘れちゃいけないよね、的な。もう既に次世代機での地盤をある程度固め終えて、次のステップや脇道・裏道もちょっと試してみようじゃないかと言う段階。そういうタイトルって、はっきり言ってもう明らかにゲーム的な面白さは一歩も二歩も足りてないのだけど、でも、そこから伺える手探りっぷりと言うか、チャレンジャブルなところが、なんかいいなぁと思う。いやそれだけで感心してもしょうがないのだけどもさ。肝心なのは面白いことだから、見方としては邪道には違いない。でも、こういう積み重ねでどんどん面白さが増えていくことに繋がったりもするのだろうし。

2本進行 - 世界の果ての崖っぷちで

 上の記事は、今年の4月に『Army of Two』を遊んだときの感想だ。この後一度クリアするまではやったものの遊びなおしてはいないので、今も感想は変わっていない。作りは甘い。でも、それはそれでアリだなと思うんである。
 理由は簡単で、手堅く作られたブランドタイトルが既に幾つもあるから。だから、その横で、若干甘めのタイトルがあっても、許される。手堅いタイトルには無い新鮮味と言うか、荒削りなところが、それはそれでまた面白いと思える。


 が。世間ではどうやらもう、その許容期間は過ぎたらしい。「これはこれで、あり」ではなくなって「これでは、ちょっと」になった。サブプライム問題に端を発する金融危機で消費者の目が厳しくなったのか、それともいち早く築いた次世代機市場が既に成熟ないし倦怠を迎えてしまい、手堅いタイトルでなければ売れなくなっているのか。どうなのかは分からないが、事実それほど歓迎はされなくなったことが、『Mirror's Edge』の不振というところから伺える。『DEAD SPACE』も、評判の高さの終わりに売り上げは伸びていないと聞く。
 時期は重要だ。カプコンの『デッドライジング』はXbox360用タイトルとして人気を博した。が、もしあれが2008年に出ていたら、そこまでにはならなかったろう。ローディングはいちいち長いし、バランスも、どちらかと言えば「ダメ気味なカプコン、無意味に厳しいカプコン」の側面が出たシビアなもの。評価は確実に2割減にはなっていたのではないだろうか。あれは2006年に、Xbox360本体が出てから一年以内という早い時期に出たゲームだから、あれでよかったのだ。『Assassin's Creed』も『Army of Two』も、あの時期だから許されたのだ。もしあと一年遅かったら、どうなっていただろう。



 俺がXbox360を買ったのは『Halo』とトム・クランシーシリーズを遊びたかったからで、つまり最初っから洋ゲー、もうちょっと正確に言えばFPS目当てだった。買ったのは2006年1月だから、かなり早い。北米での発売から2ヶ月、日本での発売からわずか1ヶ月だ。発売からそんな早くにゲーム機を買ったのはそれが初めてだった。いやそんな話はどうでもいいか。
 実際に半年・一年ほど見ていて、思った。「あー、洋ゲーやばいかも」。この「ヤバイ」ってのは、誉め言葉ではなく悪い方の意味。ローンチの『Call of Duty 2』がミリオンを達成し(たしか半年くらいかかってたけど。あとハーフミリオンだったかも)、『Ghost Recon : Advanced Warfighter』が早々にものすごいグラフィックスを見せつけ、そしてXbox360本体とそのソフトの売り上げがあっちでは決して悪くないよ、という話を聞いたとき、俺は不安になった。確かに、グラフィックスは綺麗になった。エフェクトも派手だ。素晴らしい。でも……えぇと、他には無いのだろうかと。もしこの後もこのままだとしたら、なんか、あまり先は長くないんじゃないか、と。今は売れてても、どこのメーカーも同じようなのしか出さなくなり、ユーザーは飽き、2,3年くらいで行き詰ってしまうんじゃないだろうかと。
 そう言うことを心の中で思っていたから、『Assassn's Creed』や『Army of Two』と言ったタイトルが、正調のビッグブランドを発売している大手メーカーから出ることが、俺にはとても好印象だった。「こういうのも出るなら、まだ大丈夫だろう」と。「売れるなら、まだ大丈夫だろう」と。
 でもなー、もう、違うんだな。売れなくなっちゃった。困ったことだよねー。



 それだけです。おわり。
 あれっすな。ただでさえまともな文章書けないのに、書きかけの文章を切ったり貼ったり足したりすると、さらに酷いことに。
 あと、文中に出てくる売れてそうとか売れてなさそうとかいう話は、俺の「そんな話をどっかで聞いたな」ていう程度のことなので、本当にどうなのかは知りません。具体的な数字のデータとかほとんどチェックしないのでね俺。普段からそうだし、これを書くにあたって確認もしてない。もしかしたら『Army of Two』とか全然売れてないのかもしれないし、『Mirror's Edga』超売れてるのかもしれない。気になる人は自分で確かめてね。海外市場ってのが「欧米」なのか「北米」なのか「欧州」なのか「どこかもっと別のところ」なのかも、ここでは特に意識して書いてるもんじゃないので、読んでる方々がそれぞれになんとなく自分の中で当てはまりそうなとこをイメージしてくれりゃいいですよ。その程度の記事ですので。