Gよりも前にoverすべきものがあるんじゃないかとか

Over G - Xbox360

Over G - Xbox360

 プレイしていて感じる妙なイラつきと言うか、拭えない違和感と言うか。シナリオ2のサブミッションを3個ほどやってみて、原因らしきものがちょっと分かった。ような気がする。してたらいいな。したとしよう。したことにしとけ。
 やさしくないからだ。まずもって『エアロダンシング』の印象が抜けなかったのがまずかった(そういえば2ちゃんねるのゲーム板にあるスレッド覗いたら「エアロダンシング信者がごちゃごちゃとケチをつけてきてる! うざい!」と言って騒いでる人がいたので、あまり引き合いには出さないほうがいいらしいですよ奥さん。とか言いながら自分では出してるんだけど)。『エアロダンシング』は、やったことある人は分かると思うが、基本的なチュートリアルから用語解説まで全部入っていて、とにかく親切極まりないゲームだ。チュートリアルなんて、離陸・攻撃・着艦といったごく基礎的な事項だけでなく、各種ターンの練習までミッションとして用意してくれてたりする。『エースコンバット』なんかはそういう複雑さを排してシューティング部分に寄ったゲームなのであれこれ説明がなくても別によかったわけなのだが、多少でもフライト部分に寄ったゲームになると、知っておかなければいけないことが格段に増える。高度や速度やエンジン出力に残り燃料といったHUD情報、ギアダウン・ギアアップ、エアブレーキ、ホイールブレーキ、各種ミサイルの誘導方式、回避方法、ブラックアウトとレッドアウト、全て「基本」として最初に分かっておかないと、いざ飛んでから「これって何だろう」とまごついても遅い。どころか、離陸前のタキシングもままならない。
 が、『Over G』は、そんなことを一から懇切丁寧に教えてくれるほどやさしくない。離陸と着陸の仕方、HUDの見方は説明書に書いてあるから読んでおけ、である。「当然『エアロダンシング』くらいのフォローはしてもらえるんだろう」と暢気なことを考えていた自分は、その厳しさを目の当たりにして震え上がったというわけなのだ。嗚呼、なんと硬派。なんと無骨。やれチュートリアルだ何だと、それは猿にでも与えるつもりかねと尋ねたくなるほど軟弱になっていく昨今のゲームと、それに甘える堕落したユーザー。それらに対し、タイトーは敢然と牙をむくのである! なーんて誰がフォローするかよ。ゲーム中に出てくる数あるミサイルの名前と種類と違いはミッション前の武装選択画面でしか確認できないし、戦闘機の挙動とフリー・ヴュー・システムのスティック操作による上下動を順逆ニ種に設定できるようにしておきながら(細かい所ながらこの配慮は素晴らしい)説明書は全てリバース設定前提でしか書いてない。わざと説明を省いたわけでも何でもなく、単におざなりに済ませただけなのがそこここから見て取れる。肝心のゲーム部分は別にこれと言ってつっこむところは無いのだが、その骨に肉を足して一つのゲームとして組み立てていく過程で気を抜いているというか投げやりと言うか。延期を重ねた挙句に決算に間に合わせて発売した「勿体ないゲーム」の典型。「まずもって良いものを作っていかなければ消費者の信用を勝ち得ることはできず、とりあえずその場は繕って凌いだとしても、失った信用を二度と取り戻すことも無くいずれ会社は立ち行かなくなる」という当たり前のことを忘れ、ただ目の前の決算書に記載する数字しか見ない場当たり的な経営陣によって堕落したメーカーの商品のお手本であると言えよう! 特典DVDを作る金と時間で、他になにか出来たんじゃねっすか?
 とかなんとか長ったらしいエントリーができちゃったけども、「もうちょっと色々フォローしてくれても良かったのに」と一文書けば済むんだよね。