我が道を行く

竹崎「キラーソフトは出します。ただ、すべての商戦期に置いて、自社のソフトがトップを独占する状況を作んないようにしよう、と」
永田「……ちょっと驚きました。それは極端な話、セガハードが売れればソフトがトップにならなくてもオーケー、てことですよね」
竹崎「そうです、トータルでセガハードに関するソフトが売れてればいいわけですよ」

※太字は原文ママ

 以上、『ゲームの話をしよう』より、セガの竹崎忠氏と著者の永田泰大氏との会話。
 今となってみれば、こういった配慮も効果はなく、それどころかセガファンのセガ離れを促進させただけでしかなかったと言えるわけですが、ソフトメーカーとしても強いプラットフォームホルダーは何かと考えることも多いのですねぇ。と思ったりもしたのですが、任天堂が発表した新型機(コントローラより前に正式な商品名をとっとと決めて発表してくれっつの)のコントローラを見てると、あそこは他のメーカーに対してもゲーム作りに関しては一切甘えを許さない感じですな。
 彼らは彼らなりにあの形態がベストだと考えて、当然ながら既にどう使えば効果的なのかもしっかり研究した上で採用したのでしょうけども、サードパーティーはそうはいかないわけで。任天堂なんてただでさえ世界的に屈指のソフトメーカーでもあり、任天堂ハードへの参入はその世界的企業と同じ土俵に上がって勝負しなければいけないことを意味するというなんとも恐ろしい状況なのに、その上さらにあのデバイス。何を考えているのでしょう。個人的には、任天堂セガソニーマイクロソフトと言った他のハードメーカーに比べてこれまであまり縁がなく、これといって思い入れもないのですけれども、しかし彼らの提供する商品のクオリティやサービスに関しては最も信頼して良いと思っています。だから、彼らはあのコントローラを使ってとても面白いゲームを作ってくれるものと確信していますし、任天堂のゲームをやるためだけに任天堂ハードを購入するのは選択肢の一つとして十二分にありえるのですが、しかし、ここまではっきりと他社の性能競争に決別して我が道を行かれると、さすがにちょっと「本当に大丈夫なのか」と心配になってきます。だって、コアゲーマー層ではかなり前から何のかんの言われてはいても、大部分の人には高性能化はまだまだ無邪気な肯定的感情で捉えられている訳で。ハードメーカーが誘導する性能競争に付き従って重厚長大路線をひた走る大手メーカーなんかはもう付いてこないんじゃないですかね。無論、それが「血を吐きながら続ける、悲しいマラソン」なのじゃないかという危惧は誰しも持っていて、そうであればいずれは破綻するときが来るのは分かりきっているのですけども、今の業界でそんなことまで考えて行動にうつせる人なんてそういないのも明らかでもあって。性能的にもマルチプラットフォームにはあまり期待してないようで、実際にそういう状況になるんだろうと思うんですけども、果たしてそれで大丈夫なのか? 確かに今は超絶優良企業ではあっても、業界で孤立したままで果たしてどれほどの事がなせると言うのだろう。ゲーム会社としての矜持を捨てて凡愚に迎合するくらいなら……てことなのか、それともこの路線でも未来を拓く自信があるのか。
 まぁ、自分としては喜んで応援させていただきますけどもね。別に重厚長大路線も結構なんですが、前へ倣えで誰も彼もそればかりになられるのは、もういい加減にうんざりですので。つっても、今のところ一番期待しているのはXbox360ですが。