NINJA vs.NINJA

 まだ正式な発表じゃないので今後どう変わるか分かりませんけども、どうやら『忍道 戒』(リンク先の公式サイトは開くとウィンドウを変形させるのでご注意)と『天誅 紅』の廉価版が同じ11月2日に発売のようで。
 『忍道 戒』を開発しているのは株式会社アクワイアで、ここはプレイステーションでの『天誅』シリーズの開発元でした。が、発売元だったソニーが『天誅』の権利を他社に売却したことで、アクワイアは『天誅』の開発から手を引くことになったという過去があります。このときは、そもそも『天誅』はアクワイアが企画したものであったことと、どうも権利の売却を事前に聞かされていなかったらしいことで、ファンも巻き込んで相当にもめました。その名残なのか、今でも2ちゃんねる家庭用ゲーム板に立つアクワイア開発のゲームソフトのスレッドでは、アクワイアに対する悪口が書き込まれます。


 『忍道 戒』は、『天誅』を手放さざるをえなかったアクワイアが満を持して発売する「忍者」をモチーフにしたゲームです。公式サイトなど見るかぎり、はっきり言ってかなりそのまんまな感じで、彼らが今でも『天誅』を忘れてなどいないのが良く分かります。少なからぬ因縁を持つ二つのソフトが揃ったわけですが、その両者の行く先を考えるときに注目するところといえばミッションエディットでしょう。
 ミッションエディットは、アクワイア開発時代のPSソフト『天誅 忍凱旋』にあった要素でした。その名のとおりミッションのマップや敵の配置をユーザーが自由に作れるもので、ユーザーから公募したエディットデータだけを集めた『天誅 忍百選』も発売されました。この要素はそれ以降のシリーズ作品でなくなりますが、しかしユーザーからの復活の要望はやむことがなく、権利が売られアクワイアの手を離れて後のPS2ソフト『天誅 参』や『天誅 紅』のプレイヤーの感想でも「エディットモードを付けてくれ」という意見が多くありました。その結果、ミッションエディットはPSPソフト『天誅 忍大全』で見事に復活を遂げたのです。『天誅 忍大全』では、ネットを介してエディットデータ配布も出来るというサービス振り。とはいえ、そこはあくまでもPSPソフト。そう、ここからなんですね。今までずっと要望の多かったエディットモードを復活させたわけで、それは歓迎すべきことではありますが、同時に、次に据置きで出すシリーズ最新作にもまたエディットモードが付いているべき必然性をメーカー自ら高めてしまったということでもあるわけです。で、そんなミッションエディットが何故に注目すべきことなのかと言うと、実は『忍道 戒』にはこのエディットモードがあるのです。現行の据置き機でのエディットモード搭載は、元々の『天誅』開発会社であったアクワイアが一歩先んじたというわけで。ええ。『天誅』の現権利保持社であるフロム・ソフトウェアがシリーズ最新作でエディットモードを搭載しなければいけないという空気がいっそう高まったということです。


 はっきり言えば、意地悪でしかありません。「一体どう出るんだフロム」という、いわゆる悪趣味なウォッチです。しかし、楽しい。『天誅 紅』という大いに楽しませてもらったソフト(これはごく素直な意味で「面白いゲームだった」ということですので、誤解なきよう)の次回作がどうなるのかという楽しみがある上に、さらにこれですよ。ええ。こんなにワクワクするのも久しぶりですな。互いに意識しまくった状況で、励んで切磋琢磨しクオリティの向上に努めていただきたいものです。
 ひとまずは『忍道 戒』に期待。嗚呼、発売が楽しみで楽しみで。