『ペイチェック』読了

ペイチェック―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

ペイチェック―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

 読んだことのある短編が入っているのは知っていたのだが、細かくは確認していなかったので、まさか12編中3編しか未読の作品がないとは思わなんだ。しかも読んだことのある9編というのは全てこの本と同じハヤカワ文庫から短編集に収録されて出ているわけで、まぁ、なんともお安い単行本ですこと。


 ていうか、あとがきで訳者が「いまや入手困難な短編が二、三含まれている」と言っているが、その三編ってのはつまり早川書房以外の出版社の刊行物ということなわけで。んー。再販制度とか何とか言う前に、出版社は絶版本をなくせっていう話だよな。有名作家の売れる本だけ大量に出してあまり売れそうもない本は売らず、それでいて権利だけ持ち続けるんじゃ、それはごく普通の物売りの姿勢であって、再販制度なんてご大層なもんはいらねぇじゃねーか。どこの阿呆だよ、「再販制度がなかったら売れる本しか店頭に置かれない」とか言ってるのはさぁ。あっても変わらないじゃん。少数の読者の意見なんてはじめから聞いちゃいないだろ。それをさも聞いてあげてるかのような振りをするだけでも腹が立つのに、いかにも小奇麗な錦の御旗を立てて金儲けシステムに組み込みやがって、出版なんざとっとと潰れてしまえ。読みたいのに手に入らず、ついにと思えばこんなこすっからい売り方なんだから、その堂々たる態度には頭が下がるよ。