リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦い [DVD]

リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦い [DVD]

マイノリティ・リポート [DVD]

マイノリティ・リポート [DVD]

 999円。安いねぇ。『トラ・トラ・トラ! [DVD]』も買おうかと思ったんだけど、店になかったので今日はやめ。

紳士同盟

 製作中に早くも次回作が企画されメインキャストとの契約まで取り付けたのに、肝心のこの1作目の興行成績がよろしくなくておしゃかになったと評判(本当かどうかは知らんが)の『リーグ・オブ・レジェンド』は、物足りなさはあったが思っていたより良かった。主役連中が有名な小説の登場人物というのは知っていて、その同人誌的とも言える要素に興味を持ったからこそ見たわけだが、それ以外にも『モルグ街の殺人』やら上司M(これってやっぱ007シリーズだよな)やらちらほらネタが見えたのは面白かった。たぶん、知らずに見過ぎしただけで他にもあったんだろうなぁ。
 内容はド王道の冒険映画なんで、こういうのを小学生に見せてそこから小説へと興味をもっていくのはアリなんじゃないかとか余計なことも思った。いやほら、「最近の若いのは本を読まない」とかいう年寄りの嘆きがここ数年結構あるでしょ。『トム・ソーヤの冒険』、『吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)』、『海底二万里 (創元SF文庫)』、『透明人間 (講談社青い鳥文庫)』、『ジキル博士とハイド氏 (創元推理文庫)』、『ソロモン王の洞窟 (創元推理文庫 518-1)』、『ドリアン・グレイの肖像 (新潮文庫)』、『モルグ街の殺人事件 (新潮文庫)』、『シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)』。とりあえず今気がついたとこだけでも、この映画1本でこれだけ元ネタがある。当分読むものにゃ困らんよ。
 テレビを見たりゲームをしたり漫画を読むのは放っといても子供はする。やめろと言ってもやり続ける。面白いから。読書もそれと同じでいいわけで。面白いから読む。それでいい。会ったこともない偉人の伝記やらを読まされたって、んなもん都合の良い空想物語と代わらない。だいたい他人の成功物語を聞いても大して為にならないのは、自分自身が『プロジェクトX』を見てどうかを考えりゃよく分かる(個人的な意見だが、人生経験を説きたいならば、今まさに子供の前の前にいるあなた自身の思い出話でもするほうがよっぽど興味を引ける。勿論、「私は子供の頃は素直だったから、あなたもそうしなさい」とかいう説教丸出しの嘘経歴じゃなくてね)。夏目漱石読めっていうけど、なぜ夏目漱石であって他じゃいけないのかアンタちゃんと理由を説明できるかい? 他の大人がそう言うから、自分が子供の頃にそう言われたから、それをリピートしてるだけじゃないのかね。そうやって散々押し付けられてりゃ、そりゃいつか本読むの嫌になるっての。だいたい、大人だってそうだろ。「あなたの為になる」なんて独善的で恩着せがましい台詞を吐きながら迷惑も考えず自分の趣味を押し付けてくる奴ほどウザイもんはないし、引いてはそういう奴が押し付けようとするもの自体までも、そのものは悪くないと分かっていても一緒くたに鬱陶しくなってくる。わざわざ嫌いになるようなことやっといて「最近の子供は〜」なんて言ってんだから世話ないよ、まったく。

 と今回のエントリーでも相も変わらず恒例の脱線をしたわけだが、軌道修正。実は『海底二万里』読んだことないのだが、小説でもネモ船長は格闘家なのか? 剣で戦うよりも、殴る蹴るの場面の方がずっと印象が強いんだが。少林拳の由来は達磨大師が経典と共に伝えたインド拳法という話もあるようだし、元々そういうキャラクタなのかしら。

少数報告

 変わって『マイノリティ・リポート』。以前の『アイ、ロボット』と同様に映画そのものには興味も期待もなくて、ただ原作小説をどう料理したかを知りたかっただけ。なのと実はもうひとつあって、珍しいことに日本語の吹き替えが二種類入っていたのが興味を引いたから。経緯はさっぱり不明だが。ちなみにその二種の比較としては、堀内賢雄氏がトム・クルーズを吹替えているバージョンの方が圧倒低に良い。というか、もう片方のバージョンでのトム・クルーズの吹替えがひどすぎる。なぜこんなもん入れたのやら。謎。
 で、実際に見ての感想であるが……。小説読め、と。それだけだな。話を無駄にごちゃごちゃにしてるだけにしか見えん。あまりくどくどしく説明すると一般客が引くのでやめたのだろうけども、かといって説明を省かれすぎるとそれはそれで意味不明でよく分からんものになってしまう。うーん。まだ一度しか見ていないので、もしかしたら見逃したシーンもあるかもしれんという予防線は張っておくか。

 この映画の最大の問題は、説明不足であるがゆえに原作のどこを引き継いでどこを引き継いでいないのかさえもよく分からないことだろうと思う。わざと説明を省くことで観客に矛盾を気づかせないようにするのはよくある手だが、この映画は明らかにその加減を間違えている。どんな状況で予知は行われ、どういうシステムを得てそれが映像化され木の玉として出てくるのか。そこをはっきりしてもらわんと。例えばだ。「プレコグは意思ではなく行動を見る」と劇中で説明があるが、彼らが見るのが単なる絵に過ぎないならば、その予知の時点で被害者と加害者の名前が特定できるわけがないし、それが正当防衛なのか事故なのか意図した殺人なのかの区別もできるはずがない。彼らの脳から読み取った映像にしたって、あまりに断片的過ぎて証拠としては不十分であろう。それまでの6年間そんなお粗末なシステムで運営してこれたのが既におかしな話。


 ちなみに破壊屋さんが「ビジョンをきっかけに行動する主人公をビジョンとしてみるのはおかしい」と指摘しているが、実はこれ、原作では……。映画版だと人間による陰謀の話になっているが、原作はあくまでも予知システムの欠陥の話なんである。
 そんな素晴らしい原作が読める作品集はこちら。

マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

 表題作も含めて7編収録。『トータル・リコール [DVD]』の原作である『追憶売ります』も入っていて、こちらも原作と映画では序盤以外は完全に別物になっているが、『トータル・リコール』は映画単体でも普通のアクションとして見られる出来なので決して悪くはない。