やはりというか

 なんというか。特典ディスクつきとはいえ、4000円は高い出来。画面ブレすぎやっちゅーねん。演出のつもりなんだろうが、見難いだけじゃ。でもジル役のシエンナ・ギロリーが可愛かったので許す。全部許す。
 ゲームの『バイオハザード 3 ラストエスケープ』のジルはあの露出の激しい衣装があまりに場違いな感じで大嫌いだったのだけど、なぜか同じ衣装で相変わらずな場違い感を振りまいているにもかかわらず映画のジルはかなり好印象。これが本物の人間のすごさか? 『biohazard』の制服を着たジルは文句なしに好きなので、製作が決定しているらしい劇場版の次回作ででも似たような特殊部隊っぽい格好のジルが拝めることを祈るばかり。ミラ・ジョヴォヴィッチも悪くは無かったが、あの網網な衣装の変さが全てをぶち壊してる。ちゃんとデザイナーついてやってるんだろうけど、小学5年生からオタクやってるような奴にはああいうセンスは分かりませんや。

 ただなんといってもアレなのは、最近の映画にありがちな、露骨に「続編へ続く」的な終わり方な。しっかりケリつけてくれよ。最初のネメシス計画とアリス計画は二種類の生態強化兵士の改造と比較の実験なんだろうが、死んだアリスを蘇生させてまでラストで再始動するアリス計画って何なんだ。アリスはアリスでモニター越しに見ているだけだった警備員に血を噴かせて殺すし、アンブレラはアンブレラで彼女をわざと逃がしといて衛星で監視し始めるし、もはやどうなっているのやら。アンブレラの思惑もアリスの能力もさっぱりだ。次回作の脚本家と監督にオチを丸投げするつもりかオイ。


 ゲームとの最大の違いは、アンブレラがどこまで事態をコントロールしてるかかな。あくまでメインの話として表に出てきているものの違いにすぎないなのかもしらんが、ゲーム版だともっと「段々と人間の手を離れて独自に暴走を始める怪物たち」ってのがあったのに、映画版だとそれがない。タイラントをすっ飛ばしていきなり追跡者を出しちゃっていて*1そこに至るまであったであろう数々の実験とその副産物が描かれてないし、ゲーム版では野良ゾンビの変異種だったリッカーはハンター的位置になっていてウイルス感染生物の独自進化の枝もなくなってる。また、ゲーム版ではウイルス感染やダメージの蓄積などで次第に異形と化していく追跡者も、映画では最後まで直立二足歩行だった。研究所でウイルスが漏れたこと以外は、なんだかんだでアンブレラがある程度コントロールしきれちゃってる。そこがなー。結局は、世界的大企業の良からぬ企みに翻弄される人々、というだけの話になっちゃってて。物足りないっちゅーかなんちゅーか。怪物を出すためにCG使う予算なんかねーぜ! と言われればそれまでだが……。
 ま、ゲームはゲームで、製作側がアレなせいか、なんだかはっきりしない筋や設定が山ほどあるのだけどもー。

*1:ゲーム版だと、まずはじめに生態兵器としてタイラントを作る試行錯誤があり、その上でさらに、タイラントでは知力の無さから実戦兵器としての運用が難しいと判断されたことで、改めてネメシスと呼ばれる寄生生物(ゲーム版ではネメシスという名称は、追跡者そのものではなくそれに寄生する寄生生物を指す)をタイラントに寄生させて作り出したのが追跡者。映画版のように人間をそのまま改造して追跡者を作るわけではなかった。とはいえ、映画の方でも悶えるアリスの腕の中を何かがうごめいているようなシーンがあり、寄生生物の設定が完全になくなっているわけではないよう。が、作中で説明されないのでどちらにしろ一般視聴者であるこちらにはその先は解釈のしようがない。