これお薦め

 「なんか面白いアニメない? ビデオが何巻も続くようなのじゃなく、そこそこにオタクっぽくなくて、そこそこに通っぽいの」と言われることがあるんだかどうだか分からないし、少なくともこれまで言われたことはないんだけど、もし聞かれたら自分は『アニマトリックス』を薦める。

アニマトリックス 特別版 [DVD]

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 かの大ヒット映画『マトリックス』公式のスピンオフ・アニメーションで、それぞれストーリーの異なる8篇(9コンテンツあるんだけど、前後編が1本あるので作品としては8つ)の内6篇は日本人が監督して作られた。特典映像としてその日本人監督たちのインタビューやメイキング、コメンタリトラックまで入り、見ておいて損はない作品だ。今ならちょうど(まだ一週間先だった)期間限定キャンペーンでお値段980円、アマゾンなら882円で買える(単品だと1,500円に届かず送料がかかるけど)。この機を逃す手はない。


 しかし。言うまでもなくこの作品は、映画『マトリックス』の世界観を基に作られた作品だ。となると、やはりその『マトリックス』を見てその内容を知っていることが『アニマトリックス』鑑賞の前提として望ましい。

 この後2作の続編が作られたことはご存知だろうが、それも全てはこの1作目の大ヒットあってこそである。アニメにしか興味がないという人も、『攻殻機動隊』との比較などと言った見方で楽しむことは出来るはずだし、東西の洋を問わず似たようなSFアクション映画の濫発をさせるに至った偉大なるオリジナルという点でやはり注目すべき作品である。こちらも期間限定キャンペーンで980円、アマゾンなら882円とお買い得であり、一緒に買ってもそれほど懐には響かないはずだ。むしろ2本合わせれば合計額が1,500円に達し送料が無料になる。


 ただ。そこまで買うのであれば、やはり『マトリックス リローデッド』と『マトリックス レボリューションズ』も是非見て欲しいと思う。

 誰しも一度は「つまらねー」だの「駄作」だのと言った感想を見たことがあるだろう。だが、見て欲しい。実際に4作すべて見て、『マトリックス』を味わい、語って欲しい。1作2作だけ見て何になる。全て見て、ようやくそこがスタートラインである。この2本もキャンペンーンで1本980円、アマゾンなら882円。4本あわせて買っても3,920円、アマゾンなら3,528円と、新作を1本買うのとそう変わらない価格とくれば、もう迷うことなどありはしないだろう。


 と、1本のアニメを求められて4本のDVDを押し付けるのがオタクというやつか。
 しかし実際のところ1本だけを選ぶとなると結構大変なのよな。自分自身の好みから考えるにしても絞り込みづらいし、そもそも完全に1本で完結している作品も実はそうない。テレビアニメなら最低でも1クール13話、原作マンガもあったりするし、OVAでも数巻続く。どうしても「こっちにも目を通しておいて」的な注文が発生しやすい。じゃあ劇場用アニメから選ぼうということになるのだが、これもまた大半がテレビアニメの映画化だったりする。さらには相手側の好みの問題まで加わり、そうなるともうどうにもならい。「ジ、ジブリあたりで良いんじゃないのかな……『紅の豚』とか」と、とっても不本意ながら無難でどうしようもない返事をして、実のある返答を期待していた相手にも失望されて終わる。こいつオタクとしても使えねぇ、みたいな。