「好き = 詳しい」じゃないんだよ勘弁してくれよ

 日曜洋画劇場とかテレビで放送する映画をよく見るようになったのは中学生の頃で、とは言っても見るのはハリウッドアクション一辺倒で恋愛モノとか邦画はほぼ無視だった。で、そういうテレビで見たことは友達と話すわけさ。「こないだテレビでやってたあれ、結構面白かった」とかな。別に何も不思議じゃない、普通のコミュニケーション。
 ところが残念なことに、この流れは大体ありがたくない誤解を生む。ある日、「あれってなんだっけ?」と映画についていきなり疑問を投げかけられる。別にこっちは映画通でもなんでもないので答えられないことの方が多いわけだが、そうすると相手は「なんだよ、詳しくないのかよ」とかまるで騙されたかのような表情でこっちを見るわけだ。こちとらテレビでやってるのを見た映画の話をしてるだけだし、だいたい映画に詳しいなどと大口を叩いた覚えも一切ないのだが、勘違いをされた挙句に何故かこっちが非難される。ふざけるな。


 彼らの頭の中では「あいつ映画の話よくするな」 → 「映画好きなんだな」 → 「好きなら詳しいに違いない」という道筋が立っているのだろう。二つ目までは間違ってない。最初の矢印は非常に頷けるところ。だがそこから三つ目には繋がらない。繋げて欲しくない。勝手に繋げるな。
 好きなものには自然と接することが多くなり、結果として普通の人よりも詳しくはなっていくだろう。積極的にそのジャンルの知識を吸収しようとすることもある。しかし、だからと言って必ずしも皆が皆、常に積極的に勉強するわけではない。程度と言うものがある。テレビで放送しているのを見ていれば満足できる程度でも「映画が好き」には違いない。本人が言うならそうなのだ。映画を見るのが楽しい、楽しいから映画を見る。別に知識自慢大会の出場権が欲しいわけじゃあない。勝手に出場登録するでないバカモノめが。